冬だ!クリスマスだ! ウインタースポーツだ!
寒い冬にはあったかいお茶がいいね~
冬って何か茶道でも決まり事はあるの?
冬と言えば、何を連想されるでしょうか。「雪」「ウインタースポーツ」「冬休み」「コート」など、様々にありますね。
みなさんが冬と言えば、これかな、と連想するように日本では四季があり、それに合わせて行事や特色があります。
茶道の考え方は、ありのままを大切にし、その時を大切にするというものですから、もちろん季節感も大切にします。
例えば、できるだけ雰囲気を「あたたかく」感じてもらえるように和菓子や道具を取りそろえます。
ここでは、冬に関する茶道の道具やお花、和菓子についてをお伝えしますね。ぜひ、冬を楽しむ茶道や抹茶・お茶会を楽しんでください!
目次
冬の銘は何か?
銘とは、名前のことを言います。この名前とは一般的に優れた作品に対して使われます。また、銘は、茶道では器やお茶、お酒、お菓子に名付けれます。
季節に関するものであれば、季節を代表するものの名前をかねて付けられます。さらに、茶道において、春夏秋冬の分け方は、実際の季節感とは変わります。春は2月~4月、夏は5月~7月、秋は8月~10月、冬は11月~1月とされています。
では、冬の銘を月ごとに一部ご紹介しますね。
11月は、「小倉山」(おぐらやま)、「錦秋」(きんしゅう)、「里時雨」(さとしぐれ)、「柴の戸」(しばのと)、「鹿の声」(しかのこえ)などです。
11月~12月は、「木守り」(きまもり)、「初霜」(はつしも)、「夜咄」(よばなし)、「初氷」(はつごおり)、「浦千鳥」(うらちどり)などです。
12月は、「閑居」(かんきょ)、「寒燈」(かんとう)、「聖夜」(せいや)、「行く年」(ゆくとし)などです。
12月~1月は、「初音」(はつね)、「さきがけ」「寒松」(かんしょう)、「寒月」(かんげつ)などです。
1月は、「幾千代」(いくちよ)、「松竹梅」(しょうちくばい)、「末廣」(すえひろ)、「千歳」(ちとせ)、「福笑い」(ふくわらい)、「蓬莱」(ほうらい)などです。
また、この銘は、茶席で湯を沸かすために炭を入れる囲炉裏の部分の炉(ろ)でもあります。
炉は、11月から来年の4月まで使われるの道具のことで、あたたかさを演出します。
銘は季節を代表する花や動物も関係します。
冬の茶花は何か?
茶花とは、茶道で飾るお花のことを指します。華道とは違い、茶道の場合は主役はあくまでもお茶です。
そのため、シンプルで匂いの強いものは避けれます。さらに、季節感を楽しむことがメインなので、珍しい花ばかりではありません。
11月は、寒菊、つるもどき、はしばみ、まんさく、つばき各種などです。
12月は、冬至梅、寒菊、はしばみ、水仙、だんこうばい、寒ぼたん、たにくわ、みずき、蝉梅、つばき各種などです。
1月は、はしばみ、たにくわ、しだれやなぎ、蠟梅(ろうばい)、寒紅梅、寒ぼたん、福寿草(ふくじゅくさ)、つくばね、
土佐みずき、伊予みずき、水仙、つばき各種などです。
また、季節によって変わる茶花以外にも、それをもとに和菓子にもデザインとして引用されます。
冬の和菓子の3つの特徴
1:冬を連想させるような色彩
和菓子は、味だけでなく色も重要です。冬を連想させるような色彩が使われます。
2:味わいも冬を意識した季節感を
味わいも冬を代表する食べ物を使った和菓子など、冬だからこその味を表現します。
3:風習や伝統にちなんだデザインやモチーフ
冬だからこそ行われる風習、伝統に関連した和菓子も作られます。
冬だけに行われるお茶会があります。
実は、冬だからこそ、その季節だからこそ開かれるお茶会というものがあります。
11月から炉(ろ)が開かれ、立冬になる頃での開炉は「茶の湯の正月」とされています。
そのため、様々なものが一新されて、茶室の畳表と窓障子が新しく張り替えられたり、炉壇も塗り替えられます。
また、露地(ろじ)の垣根や樋(とい)や筧(かけい)は青竹になったりします。
他にも秋の美しい風情を楽しむ「紅葉狩りの茶」というものもあります。
12月になると、夕方頃から始まる「夜咄の茶事」(よばなし)というものがあります。
他には、師走の落ち着かない時期に一息つきたい!という「歳暮の茶」や大晦日の夜にゆっくりとこの1年間を振り返る「除夜釜」(じょやがま)など12月らしいお茶会です。
1月は、新年を祝う「大福茶」(おおぶくちゃ)や「初釜」は、社中や知人とともに新年にふさわしい道具をとりあわせます。
例えば、「結び柳」といって床の間に飾る柳は、和を尊び、悪魔をはらう床飾りとして掛けます。
さらに、「振々香合」(ぶりぶりこうごう)といって魔除けとして飾ったり、「十日戎」(とうかえびす)も用意します。
「大福茶」とは、お正月の元旦の早朝(午前4時)にくみ上げた若水(わかみず)でお茶を点てて、家内一同が揃ってお茶を飲む祝儀のお茶のことです。
こちらは、大服(大量)にお茶を点てることから大服茶、皇服茶とも書くことがあります。
なぜ、若水で点てるかというのは、昔から若水を飲めば若返る豊かな生命力を持つ水と信じられてきたからです。
茶道では水を大切にしてきたため、1年のはじめの厳粛な行事としても「若水汲み」(わかみずくみ)があるのです。
では、事例をご紹介します。
・11月のお茶会(事例)
1日:開炉・炉開き(初旬)
2日:口切(初旬)
3日:善通寺茶筅供養(香川県)
4日:孤峰不白忌(江戸千家)
5日:厳島神社献茶(初旬、表・裏千家)
6日:明治神社献茶(三千家、6日ごろ)
8日:大網会(京都・黄梅院。第2日曜日)
11日:光悦会(13日まで)、南禅寺開山忌
12日:長闇堂茶会(11月の日曜日)
13日:有楽忌、鎮信忌
17日:日吉大社献茶(坂本、表千家)
18日:立田紅葉観賞茶会(18日ごろの日曜日)
19日:宗旦忌(裏千家)
22日:大徳寺開山忌(三千家)
26日:北野お茶壷献納式
27日:名古屋城市民茶会(11月の日曜日)
28日:月次利休忌
30日:瑞厳寺茶筅供養(徳島市、下旬)
・12月のお茶会(事例)
1日:北野天満宮献茶祭(三千家、薮内家、久田家、堀内家)、箒庵忌(東京、護国寺)
2日:三斎忌
7日:竹風忌(薮内家)
12日:王服茶筅(京都・六波羅蜜寺)
14日:義一祭の茶
17日:護国寺慈善茶会(裏千家)
19日:瑞凰寺茶筅供養(仙台市)
22日:夜咄の茶事(冬至~立春)
28日:月次利休忌
30日:歳暮の釜(下旬)
31日:除夜釜
・1月のお茶会(事例)
1日:若水くみ 大福茶
7日:義政忌、家元初釜(裏千家、7日~13日)
8日:今宮戒神社献茶(表千家)
11日:家元初釜(表千家、10~14日ごろの4日間)
15日:家元初釜(武者小路千家、15日、16日)
20日:雪見の茶(12月~1月)
23日:仙叟忌
28日:月次利休忌
茶道を通じて冬をもっと楽しもう!
いかがでしたでしょうか。もちろん、茶道には通年で使われたり、行われる茶会もあります。
しかし、せっかくの春ですから、茶道や抹茶を楽しむならば、ぜひ季節感も意識すると気持ちが変わります。
例えば、いつも通年で食べる和菓子よりも冬限定の和菓子にしたり、冬らしいお茶碗やお皿を用意するだけでも立派なお茶会です。
「その時を楽しむ」茶道、この季節を楽しんで、より素敵な日々を過ごしてくださいね。
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