みなさまはNHKの大河ドラマなどで千利休が将軍に対してお抹茶を点てるシーンなどが描かれることがあります。
ただ「お茶を飲む」という行為なのに、なぜ?と思いませんか。
実は、茶道というものが日本という国の歴史にある戦と関係が深いのです。
今回はそんな戦との関係についてご紹介します。
目次
戦の疲れを癒やす
戦国時代も、茶道は重要な役割を担っていました。各地で戦が繰り広げられ、国内の政治や社会の不安定さがあった時代。
しかし、戦乱の世においても茶道、お茶によって精神的な安定や人々の結びつきを図るツールになっていました。武将などもお茶を飲んで疲れを癒やしていたと言われています。
抹茶には、カテキンやミネラルなど沢山の栄養素もありながら、持ち運びもしやすく、管理もしやすいものだったため、重宝されていたのでしょう。
また、北条氏繁という武将は「寝茶の湯」と称された、一風変わった茶の湯のお話があります。
これは氏繁が病気になった際、茶の湯をたしなむことで気分転換を図ったことから始まりました。
具体的には、枕元に茶器一式を用意し、寝ながらお点前や茶を飲むことを日課としたのです。これにより、病魔と闘う気力を養ったと伝えられています。
この寝茶の湯は、後に武家の間で流行するきっかけともなりました。
病める武将が、氏繁の寝茶を手本に枕元で茶の湯を楽しみ、癒しを得た例が多かったからです。氏繁の寝茶は、当時の武家社会で大きな影響を与えたといえるでしょう。
茶道を活用して外交と人集め
やはり、戦には人が必要です。できれば、優秀な人材が欲しいところですね。
そのために茶会は格好の接待の場として活用されたといわれています。
ある武将は茶会に実に500人もの客を招き、珍しい茶器などで優秀な人材の引き抜きを図った逸話が残されています。
茶道を使って能力のアピール
茶道の文化では茶室や茶道具の収集が粋なものだという考えがありました。
いわゆる意識の高いコレクターといったところで、それによって集めている本人の審美眼や教養など才能をPRできたのです。
だからこそ、それを見て、より優秀な人材は「この人についていきたい!」と思わせることができる要素のひとつになったといいます。
実際、ある武将は茶会を開催するたびに多くの家臣を引き入れたとも記されています。
茶道を活かして士気をあげる
また、小田原城攻防戦では、武将の北条氏政は兵士たちの疲労回復を図るべく、身分の差を超えて茶を振る舞った逸話があります。
具体的には、北条氏政は直接部下たちにお茶を配りました。
疲弊した部下たちは、氏政から直接茶を賜る光栄に、大いに士気を奮い立たせたといいます。
このエピソードから、北条氏政の茶の湯への理解や人望の高さがうかがえます。危機的状況下でも、茶の精神力をもって兵士たちを鼓舞し、城を死守しようとしていたのです。
茶道と戦から学べることを活かそう
ここまで、茶道と戦についてご紹介しました。
ここで学べることはいくつもあると思います。
何かに挑戦する時には人を集める、優秀な人を集めるには有能だとPRする・集まっていくべき価値があると思ってもらう、相手の気持ちを考慮する。
これは、きっと日常の生活でも活用できるでしょう。
茶道とは、お茶文化を通じて日本という国、日本人というアイデンティティに触れていきます。
だからこそ、茶道の本質を理解して違ったアプローチで楽しむということがおすすめです。
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