日本文化には様々な季節的な行事があります。それぞれに意味と思いがあり、受け継がれてきた伝統文化。
しかしながら、感染症が流行ったことで、そのような儀式や行事も縮小や中止が続きました。
個人的には、そのようになってしまうと、まるで単調で繰り返される生活で季節感を体感していないような、体感だなと思っています。
そんなときだからこそ、今一度、見過ごしがちな伝統文化に目を向けることで、先人から継承される豊かな考え方から学ぶべきことがるのではないかと思います。
目次
1:雛祭りが持つ意味
雛祭りとは、本来、中国から伝わった「五節句」という行事のひとつ「上巳」から発展したものと言われています。
季節の節目を意味する「節」の時期は、昔から邪気が入りやすい、つまり、体調を崩しやすいといったように言われていました。
そのため、中国では川で身を清めることでその邪気を払うという習慣がありました。
実は、日本では紙などで作った人型を自分の身体の代わりとして川に流すことでで邪気祓いをするという行事が広がっていきました。今でも地域等によっては、「流し雛」という風習は残っていますね。
つまり、今では雛祭りはお祝いをするという意味合いが強いですが、本来は人形が女の子の身代わりになって邪気払いをしてくれるという意味だったそうです。
そのため、いつまでも長く飾っておいては、良くないともされているようです。
昔は今よりも科学や医療が発達していなかったため、このような「考え方」から文化や風習が生まれていったのですね。
(参考資料:日本文化いろは辞典)
2:雛祭りと茶道
さて、そんな日本文化の節分は、茶道のお茶会にもテーマとしてあげられることがあります。
例えば、雛祭りをイメージした和菓子を用意したり、雛祭りに関連する掛軸などを用意したりします。
その理由の1つは、茶道は季節感をとても大切にするからです。
昔は、エアコンやこたつなどはなかったため、目に見える姿形によって、涼しさや温かさ、季節の流れを表現することで楽しんでいたのです。
その考え方が今現代でも引き継がれることで、単調な日々の中にも、メリハリをもたらしてくれるヒントが得られます。
3:「ハレとケ」の文化
日本の伝統文化や行事というのは、ハレとケの概念から来ています。
ハレとは、お祭りや冠婚葬祭、神事のような非日常のもの。語源は「晴れ」ですが、意味としては節目や折り目。
ケとは、それ以外の日常のことを指します。語源は、「褻」となり、意味としてはけがれる、日常的なことを指します。
このハレとケによって、人はメリハリを持った生活や人生を歩むことができると考えています。
※この言葉は、柳田国男さんという民族学者の方がつけた言葉だそうです。
また、「ケガレ」という言葉は、病気や死など一般的に人間がマイナスに捉えることを指し、「ケ」の日常に差し障りがあるものだとされています。
この「ケガレ」を祓ったり清めたりする力が「ハレ」にあるとも言われています。
※日本文化研究ブログさまからの一部引用です。
日本の伝統文化の意味や歴史にも目も向けてみよう!
小さい頃、保育園で飾られた立派なおひな様セットによく感動したものです。
おひな様のお人形さまのお顔も、お召し物も、とても綺麗で神秘的なイメージでした。
行事の意味が分からない場合は、「そういうものなのかな」という印象で終わってしまいます。
しかし、「なぜその行事が生まれたのか」「なぜその行事が広がっていったのか」ということまでも理解すると、日々の幸せを思う人間の本質的な願望に共感することができますね。
今でも世界は感染症という目に見えない大きな、大きな邪気がいます。
それが綺麗さっぱりと、はらうことができることを心から願っております。