これまで日本人から外国人向けにイベントや講座を行ってきました。
当然のことですが、参加者の違いによって求めているものは違います。
前提として、茶道をイメージできるかどうか、日本文化にどれほど理解があるか、などによって伝わり方は変わります。
そのため、私が特に意識していることを3つご紹介します。
(※以前、イベント会社さまとコラボした外国人向け&日本人向けの茶道イベント)
目次
1:さまざまな海外との関連性
茶道の歴史について勉強をしていると、海外文化の影響を受けたことで様々な変化を遂げていったことが分かります。
まず、お茶文化はインドや中国からやってきました。そこから、日本の文化になじむようにアレンジをしていったのです。
茶道具にも朝鮮や中国のものは海外のものということで高価な扱いでした。
さらに、正座をするだけの茶道から脱却したのは、文明化で西洋の方をおもてなしする際でした。
このように考えると、島国の日本は、海外などの外的要素の影響を受けることによって私たち日本人向けにカスタマイズ、アレンジをしていったことが分かります。
そんな、日本という島国の文化が様々な海外の文化ともつながっているということをお伝えしています。
また、時に参加者の国の方々のお茶事情も勉強しているため、そのことについても触れながら、お茶文化での比較や違いについてもお話することがあります。
こうやって、お互いの文化の共通点や違い、歴史に触れることで興味関心が抱きやすくなるのです。
2:神道、仏教との関連
これまで、ホームステイや10カ国以上の国へと実際に足を運んできました。
そして、それぞれの国の寺院や教会にもプロのガイドさまの解説をお伺いしながら、宗教観について学びました。
そこから感じたことは、世界中の国の人々が共通してある、「それぞれの幸せとよりよく生きたい」という思いです。
それが土地や文化によって行事や、儀式、施設や組織、習慣が生み出されたということです。
もちろん、日本においてもそれは同じです。
例えば、海外の方によく驚かれる、日本の街の清潔さと丁寧さ。
これには、私たち日本人がよく先人から教わった「お天道様が見ているから悪いことはしてはいけない」「八百万の神がいるからどんな場所でも清潔であれ」というものが影響されているでしょう。
このような部分もきちんと言語化してお伝えすることで、なぜ日本人の私たちがそのような行動をするのか、ということを理解していただきやすくなるのです。
3:日本人の価値観
「日本人はシャイだ。」
何人かの海外の方に言われたことがあります。確かに、世界の中でみても、自己主張はそんなに強くない傾向にあるでしょう。
しかし、私たち日本人にも意見や主張というのは当然あります。では、なぜ言語化をして主張をしないのか。
それには、このような四字熟語も影響していると思います。
・沈黙寡言(ちんもくかげん)→落ち着いていて言葉数が少ないこと。
・以心伝心(いしんでんしん)→言語化をしなくても、お互いの心と心が通じ合うこと。※元は禅語
・沈黙は金、雄弁は銀(ちんもくはきん、ゆうべんはぎん)→時には沈黙でいることは金のように価値がある。雄弁は時に沈黙に負ける。
・神会黙契 (しんかいもくけい)→「神会」は理解するという意味、「黙契」は言葉で示さずに意思が伝わるという意味。つまり、言葉を使わなくても、お互いに意思が通じること。
・維摩一黙 (ゆいまいちもく)→多くのことを話すよりも沈黙の方が勝っているということ。
ちなみに、「維摩」とは釈迦の弟子の一人です。ある日、釈迦の弟子たちが仏教の教えについてあれやこれやと議論をしていると、この「維摩」が言葉ではなく教えを行動・態度で示したという故事から意味合いがきています。
このように、私たち日本人が学んできた文化などからも多くを語るよりも黙すること、態度で示すことが良いとされてきました。
私たちにとって、意識すらすることもない「当たり前」を「どうして当たり前なのか」という視点からお伝えしていきます。
常に、自分が外国人の立場だったら何を知りたいかの視点を持つ
とても大切な視点としては、自分が外国人としての立場だったら、その文化をどのような視点から知りたいかということです。
例えば、私は5歳か6歳の頃、ディズニーの101匹わんちゃんを1年中、1日2回も見るなど、大好きでした。もちろん、今でも大好きです。
今でも覚えているのですが、小さい頃に見てきた日本のアニメとはテイストの違う色彩感覚やデザインにとても魅了されたものです。
101匹わんちゃんはイギリス・ロンドンを舞台にしたアニメなのですが、そこからイギリス・ロンドンについての関心が高まり、イギリスやロンドンの音楽や文化についてよく調べたりしていました。
そこで感じたのは、日本との違い、考え方や習慣の違い、歴史や教育の違いの興味深さです。
違うからこそ、より知りたくなるし、理解も関心も深まるのです。
それが、きっとお互いにとって良い刺激となる、と考えています。