日本の茶道や禅は、目に見えない思いや考えを大切にしています。なぜなら、それはとてもわかりにくいからです。
物事や人というのはこの目に見えない出来事、背景から派生して起こるものですが、どうしても人は分かりやすいものに目がいきがちです。
そんな私たちに茶道は教えを通じて目に見えないものの大切さを教えてくれます。
目次
人は自分のことがよく分からないもの
私たちは日々、様々な感情や思考を抱えながら生きています。
しかし、不思議なことに自分自身のことをよく理解できていないことがあります。
例えば、なぜ怒りを感じるのか、なぜ不安になるのか、その根本的要因を探っていくことは意外と難しいものです。
分からないのは無意識で当たり前に思っているから
その理由の一つは、多くのことを無意識のうちに「当たり前」だと思い込んでしまっているからです。
毎日の習慣や物事の捉え方など、意識せずに行動していることが数多くあります。
そのため、自分の内面や行動の真の動機に気づきにくくなっているのです。
無意識を意識してみることが解決の糸口
ここで大切なのは、普段意識していないことに目を向けてみることです。
「なぜそう思うのか」「なぜそうするのか」と自問自答することで、自分の中にある「当たり前」を浮き彫りにすることができます。この過程こそが、自己理解と心の整理への第一歩となります。
茶道の所作は「あえて意識する」ことに集中することを訓練するもの
茶道では、一つ一つの動作を丁寧に、意識的に行います。お辞儀の仕方、茶碗の持ち方、畳の上の歩き方など、普段何気なく行っている動作も、茶道の中では深い意味を持ちます。これらの所作を通じて、「あえて意識する」ことに集中する訓練をしているのです。
訓練していくことで「無意識」「当たり前」を再認識
茶道の稽古を重ねていくうちに、普段の生活で無意識だった行動や考え方が、はっきりと見えてきます。例えば、相手を思いやる心や、物事に感謝する気持ちなど、当たり前すぎて気づかなかった大切なことを再認識できるようになるのです。
ひたすらそれの事実を客観的に捉えることで新しい視点が見える
茶道では、一つ一つの動作を丁寧に、意識的に行います。お辞儀の仕方、茶碗の持ち方、畳の上の歩き方など、普段何気なく行っている動作も、茶道の中では深い意味を持ちます。これらの所作を通じて、「あえて意識する」ことに集中する訓練をしているのです。
この新しい視点こそが、自分の課題や悩みの解決への糸口となります。例えば、「自分はなぜストレスを感じやすいのか」という問いに対して、完璧主義な一面があることに気づいたり、「相手の言葉になぜ傷つくのか」という問いから、自己肯定感を高める必要性に気づいたりすることがあるでしょう。
茶道を通じて自分を新しい世界へ
このように、茶道を通じて自分の内面と向き合い、無意識を意識化していくことで、私たちは自分自身をより深く理解できるようになります。それは同時に、周囲の人々や環境との関わり方も変えていきます。一碗のお茶を通して見えてくる新しい世界。それは、より調和のとれた、心豊かな人生への扉を開くものなのです。
茶道は単なる作法の習得ではありません。それは、自分自身と向き合い、心を整える術を学ぶ道でもあるのです。日々の喧騒から一歩離れ、静かにお茶を点てる。その行為の中に、私たちは自分自身を見つめ直すヒントを得ることができるでしょう。
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